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2006年12月後半
12月3日に更新したきり、気がついてみればもう月末。あっという間の早い一月だった。
いろいろあって、日記更新が定期的にできなくなった。理由はわかったようなわからないような理由がいくつかある。が、その話はまた別にして、とりあえず更新停止中の間の出来事をざっと書いておく。
読書は、『邪魅の雫』(京極夏彦 講談社ノベルス)、『ラビリンス 上・下』(ケイト・モス ソフトバンククリエイティブ)を読了。『闇の底』(薬丸岳 講談社)を読書中。
映画は、『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』、『007 カジノ・ロワイヤル』、『プラダを着た悪魔』、『犬神家の一族』、『武士の一分』を観る。
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夕方から外出。『硫黄島からの手紙』を観る。
対になる『父親たちの星条旗』は見逃してしまった。いやまだどこかでやっているかもしれないが。
『硫黄島からの手紙』は、ばったばったと人が簡単に、文字通り虫けらのように死んでいくのが観ていてしんどい。攻撃が始まり、爆発の炎が上がるとそれまでほとんどモノクロのようなトーンの中に、炎だけが鮮やかなオレンジ色に燃え上がる。
ソクーロフの『精神の声』で観たドキュメンタリーの戦争シーンを思い出す、リアルなシーンだった。
最後、二ノ宮の涙の流れる瞬間には泣いた。それまで悲しいと感じていたわけではないのに、その一瞬に泣けた。でもカタルシスはない。ただ、戦争はしてはいけないとだけ思った。なんで戦争なんて起こるのかということが理不尽に思えた。まるで小学生の感想文みたいなことを書くけど、単純にその一点に尽きた。
映画上映前に『パフューム ある人殺しの物語』の予告が流れたのだが、この映画ちょっと気になった。原作があって、翻訳も『香水 ある人殺しの物語』(パトリック・ジュースキント 文春文庫)が出ている。映画も気になるが、原作をまずは読んでみようかと思っている。
夜、録画しておいた稲垣吾郎が金田一耕助を演じる『八つ墓村』の再放送を観る。この正月に第四弾『悪魔が来たりて笛を吹く』を放送するのに合わせて、二作目の『八つ墓村』と『女王蜂』を再放送していたので録画しておいた。
このシリーズ、前回の『女王蜂』を観てなかなかよかったので、旧作も観たいと思っていたのだ。シリーズ一作目の『犬神家の一族』は残念ながら再放送がない。映画公開中なので控えたのだろうか。
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ファッションに興味のないジャーナリスト志望のアンディ(アン・ハサウェイ)が、ファッション雑誌「RUNWAY」の編集部に勤めることになる。そこで出会ったのはやり手の編集長ミランダ(メリル・ストリープ)、彼女はとんでもない気難しい人物で、そこで一年耐えられたらどこでも通用するという。アンディは何度もやめようと思いながらもだんだん仕事にのめりこんで行くという話。
とにかく、メリル・ストリープ扮するミランダの悪魔っぷりがいい。ただでもひどいのだが、ミランダに認められたあとに大失態したときの悪魔っぷりがもう最高だった。
もうありえないほど無茶苦茶な要求をたんたんとクールに喋り、こなせないと冷たい視線でチラッと見るだけという、本当に憎らしいキャラなのである。口癖は、「That's All」。言いたいだけ言って最後に一言「That's All」。字幕だとなんだったんだろう、「以上」「それだけ」とか? 思い出せないけど、その言葉を言われるともうあとがない。
対するアン・ハサウェイ演じる新米編集者のアンディもよかった。ほとんどいじめに近いハードワークに立ち向かっていく姿はなんか元気が出る。いじめに近いハードワークというのは、凄腕偏屈編集者のアシスタントとして、コーヒーいれから電話番、車や飛行機の手配、はては夫や子供との予定の調整まで雑用全般、アンディの目指すジャーナリストの世界とはかけ離れた雑用の嵐。
アンディの同僚というか先輩が、過酷な仕事に「私は仕事が好き、私は仕事が好き」と自分に呪文のように言い聞かせるところも笑えるのだが、すごく気持ちがわかる。仕事に疲れている人にお勧めというのは変かもしれないが、仕事に疲れている人にこそお薦めという気がしている。本当に疲れてると、「こんな悪魔のような上司は昼間の仕事だけでいい!」と余計ストレスがたまる可能性もあるけど、でもむしろそれを乗り切ろうとするアン・ハサウェイのパワーに元気をもらえる気がした。あと、耐えるだけ耐えて、その代わり最後が爽快なのである。
惹句に「恋に仕事にがんばるあなたの物語」ってあったのだけど、「仕事に仕事にがんばるあなたの物語」って言ったほうがいいような話。そしてこれ、女性が観るとファッションの数々にさらに楽しめるんじゃないかと思う。
[ 『プラダを着た悪魔』 監督デイビッド・フランケル ]
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『八つ墓村』を観て、日記を書いた後、DVDレコーダーのハードディスクを整理して空きを作っているうちに気がついたら3時半を過ぎていた。寝ようかと思ったが、眠くないのでハードディスク整理を続ける。6時を過ぎると眠くなる前に腹が減ってきたので、結局寝ないまま朝食。
食事をしながら流れるテレビを漫然と見ていたら、なにやらドキュメンタリーについてのインタビューをしている。『ゆきゆきて、神軍』や『全身小説家』の原一男監督にインタビューするというので興味を持って真剣に観始めると、インタビューの進行を任されたリポーターの女性がとちりを繰り返してはずされてしまう。ドキュメンタリーについてのドキュメンタリー番組なのだろうか。状況がよくわからないけれど、面白いので番組名を確認すると『森達也の「ドキュメンタリーは嘘をつく」』だった。
あとから確認したところによると、この番組は同名のドキュメンタリー論『ドキュメンタリーは嘘をつく』(森達也 草思社)をテレビ番組化したもので、2006年の日本民間放送連盟賞・特別表彰部門「放送と公共性」で優秀賞を受賞したらしい。なるほど、最後まで観てなるほどと感心した。ドキュメンタリー作家たちのインタビューを通して書籍で論じられたドキュメンタリー論のエビデンスをとるとか、ドキュメンタリー論であるべきドキュメンタリーを実際に撮るとか、そういうものではないのだ。どちらの要素もあれば、後者のような作りでもあるのだが、まさに「ドキュメンタリーに嘘をつかせる」のだ。
元となる書籍を読んでいないので、そこで語られているものがどんなことかはわからないのだが、番組から推して知るべしだ。書籍も読んでみたい。
面白かったので早速日記を書き始めたが、書きながらそのあと子供向けヒーロー番組が流れるままにしていた。博士らしき人物が白井良明に似ているなぁと思っていたら、エンディングでその博士がギターを弾いている。あれ、本当に白井良明だったんだ。番組は『魔弾戦記リュウケンドー』で、今日が最終回だった。
早起きは三文の得とはよくいったもんだ。っていうか、寝てなかった。
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『闇の底』(薬丸岳 講談社)読了。今年最後の読書。真相はかなり早めに見えてきたので、そんな単純なわけはないだろうと捻りを考えたらわかってしまった。予想通りの結末で、そういう意味では捻りが足りなかったのではないか。薬丸岳は、前作に続き社会派的なテーマだがトリックやどんでん返し的な要素を重視しているようだ。
ノートPCを持って実家に帰るがなぜかWillcomの端末を接続するとドライバのバージョンが合わなくて再インストールの画面になってしまいネットにつなげない。年末年始くらいネットから離れるのもいいが、調べものでもなんでもネットなのでちょっと不便に感じる。
そうこうしているうちに今年も終わり。早い一年だった。
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