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2002年9月後半
テレビで『Mrマーダー』を観る。タイトルからしてしょうもなさそうな映画で、監督のディック・ローリーという名前も知らない。しかし、原作がディーン・R・クーンツだというので、思い直して観てみる。主演はスチーブン・ボールドウィン。
ストーリーはこんな感じだ。クローン人間による、良心を感じない人間兵器を作る計画によって、優秀な高校生が殺される。その血液を元にクローン人間を作ろうとするのだが、ひょんなことから主人公の作家の血液を元にクローンが作られる。クローンは普通の人間より短期間に成長し、怪我などは一瞬で回復する力を持つ。そして、もう一つ遺伝子操作により超能力を持たせようとしていた。10年足らずで成人したクローンは、暗殺兵器として各国の要人を暗殺するが、その中で自分の存在意義について疑問を持ち始める。一方、クローンの元となった作家は幻覚を見たりするようになっていたが、それは幻覚ではなく、クローンの持つ超能力と共鳴した結果見えていたクローンの見た景色だった。クローンもまた、作家の生活を幻覚のように捉え始めていたが、空港で偶然作家の記事を見て、自分の本当の家族がそこにいると思いこむ。クローンは、自分の生活が別の誰かによって奪われていて、本当は作家だったのだと思いこみ始める。任務を無視して、クローンは自分の生活と自分の家族を取り戻すために作家の元に向かうのだった。そして、作家の生活を奪い取ろうとするクローンとそれと戦う作家の戦いが始まる。
これに加えて、クローンの生みの親がクローンを元の任務に戻そうとしてクローンの居場所を探すという話が絡む。原作がクーンツなので、SF的な設定のホラーかと思っていたが、どちらかというとサスペンスタッチの物語だった。作家とクローンは時には逃げ、ときには追いかける方へと転じるのが面白い。クローンなので、追う方も逃げる方も同じ姿というのがミソで、どちらが本物かわからなくなるところがなかなか味で、家族が偽物に気づかなかったりする。ちょっと物足りないのは、観客には判るように見せているところで、やはりここは、本物と偽物が入れ替わって、どちらか判らないというサスペンスが欲しいところだ。
夕方出かけて、吉祥寺へ。Star Pine's Cafeに「伽羅のひと夜」と銘打った鈴木朋、河井英理、シュンブンのミのライヴを観に行く。途中、本屋で買い物をする。昼間、クーンツの映画を観たと思ったらクーンツの新刊が出ていたので購入した。文庫で上下二冊の『汚辱のゲーム』(講談社文庫)。クーンツは、翻訳権をアカデミー出版がとって、もはや超訳でしか読めなくなってしまったという話を聞いていたのだが、それはなくなったのだろうか? まあ、普通の訳で読めるのはありがたいことだ。他に、『うたかたの日々』(ボリス・ヴィアン ハヤカワepi文庫)、『バイオハザード』(牧野修 角川ホラー文庫)を購入。
7時開演の少し前にStar Pine's Cafeに着くがなぜかまだ当日券の行列ができている。開場が遅れたのか、当日券の人が待たされていたのか不明。とにかく、7時くらいにようやく中に入って、後ろの方に陣取る。シュンブンのミは、小川美潮と板倉文、大川俊司の三人のユニットだが、シュンブンのミとしては初めて聴く。他の二人、河井英理も鈴木朋も今日初めて聴くことになる。最初の河井英理は「ムーン・リバー」のアカペラから始まり、いつもはバンドらしいが今日はピアノの弾き語り。非常に澄んだ声で、心地よい。
二番手がシュンブンのミであるが、今日の小川美潮は単独ライヴのときのようなはじけ方はしなかった。それは単独でないからか、それともバンドも解散して次のライヴ予定もない状態だからなのか。河井英理のきっちりと正統的な歌い方の歌のあとだと、小川美潮の歌はくだけすぎている感じがする。でも、深みがあって味わい深い。MCはいつもながらのすっとんきょうなもので面白かったし、トータルとしてよかったと思う。
三番手で鈴木朋。この人もピアノを弾きながら歌う人だった。パーカッションに後藤まさるか言っていたのは、上々颱風の後藤まさるだろうか。バンド編成で音楽的には結構よかったけど、鈴木朋のヴォーカルは今日のところはちょっと苦手だなという印象。
出かけたので、夜TBS系で放送していたテレビドラマ『タスクフォース』を録画しておいた。なにげなく新聞を見ていたら、監督が行定勲とあったので。週末にでも観る予定。
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昨日書き忘れたこと、密室本の一冊『クリスマス・テロル』(佐藤友哉 講談社ノベルス)を読んだ。
本の見返し、カバーの折り返した内側の部分に「『犯人は読者です(本当)。」と書かれている。読む前にはちょっと期待させたが、読み終えてみると、「でもこれは本気?」っていう感じ。読んでいることを前提に書くので読んでいない人には意味の通じないことを書いてしまうけれど、犯人が読者と言い切るならそれは終章はやはり物語なのか、ってことで物語−−架空のできごとならば「なんだ本気じゃなかったの?」と言いたい。終章が物語ではなく、物語の枠から出ているのならちょっとはショックがある。読み終えた瞬間は確かにショックだったし、次回作はどうなるのかと気になった。でもそれなら「犯人は読者」というより、「よき読者でなかった人」とも言えるんじゃないか。そう考えていると、読者にあわせて「スペックを落としている」とかいうのも思い上がりじゃないかと思うし、衝撃の結末も何も単なる愚痴と挫折ではないかと思ったりする。こういう批判を受けることは、佐藤友哉にとっては成功なのかもしれないけど。
ミステリとしてはどうかというと、密室トリックは、ちょっとずさんすぎる。というか、佐藤友哉がほとんど読んでいないというミステリの中で、講談社ノベルスを知るきっかけになったと書いている作家の噴飯もののトリックと同じと言ってもいいものなのがちょっとね。さらに、こっちは防ぎようもなかっただろうが密室本の一冊とも重なっている。しかし、こういうのは『オリエント急行の殺人』なんかと同じで一回しかできないトリックなんで、不満が残る。小説自体は面白く読んだのだけれど。
『クリスマス・テロル』は鏡家サーガではないと思っていたので、三作目『水没ピアノ』を読む前に先に読んだのだが、『フリッカー式』に出てきたキャラも登場しているので、外伝と思ってもいいのかもしれない。それと、見下げ果てた日々の企ての『クリスマス・テロル』のレビュでも書かれてたけど、鏡家サーガ三作読んでから読んだ方がより結末の衝撃は大きいかもしれない。
9/16のイノミスで紹介されていた本格ミステリファン度調査の投票に参加しみたが300冊中たったの49冊しか読んでなかった。あれ、59冊だったかな。いずれにしても少なすぎる。ちなみに、このアンケートの集計で読んでいる人の割合が出ているのだけれど、累計にした方が面白いと思った。上から50%はどの辺なのかとか、そういうのがわかった方が面白い気がするんだけど。でも、1位の作品でも投票参加者の1%の人しか読んでないっていうのはなんだかなぁ。1位なら、ミステリファンの90%くらいの人が読んでいてもいいんじゃないか。いくら少ないと言ってもせめて、1割とか。1%って、何?
今日は飲み会で11時くらいまで飲んでいたので、『海辺のカフカ』(村上春樹 新潮社)は全然進まず。
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本格ミステリファン度調査から主催者のMystery Laboratoryを見ていたら、講談社問題ってリンクがあって、かちかち山などが元ネタとしてリンクされている。講談社のcopyrightのページを読めばわかるけれど、書影などを問題にするのは判るのだが、目次の一部転載までだめというかなり強引なお願いにびっくりする。講談社に質問してみようかと思っていたら、かちかち山からのリンクで主上探索主宰の紀野蓉子氏による講談社への質問とその回答に辿り着く。なかなか興味深い回答だ。回答は質問とちょっとずれている気がするし、質問にいわゆる引用もだめという点について問う項目がないのがちょっと残念だが。いずれにしても今ひとつ歯切れの悪い回答だ。
この間購入した『バイオハザード』(牧野修 角川ホラー文庫)を手に取ったら、ついそのまま読み始めてしまう。牧野修が面白いと聞いて何冊か買ってあるのだが、オリジナルを読まずにいきなりノヴェラーゼイションに手を出してしまった。でも、夜も遅いので少しだけ読んで中断。
『クロエ』でともさかりえが自分の中で赤丸急上昇。昨日から『少女ロボット』のCDをヘビーローテで流し続けている。
それにしても、日記の更新が一日遅れのままなかなか追いつかない。
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『海辺のカフカ』(村上春樹 新潮社)を読む。あんまり進んでいない。すごく読みたい気持ちと、あんまり慌てて読みたくない気持ちが一緒になって、ゆっくり読んでいる。
特に他に特記事項なし。っていうか、きっとなにかあったはずなのに、一日遅れで書いていから忘れているんだと思う。
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フィギュア付きのお菓子が流行っているけれど、一度も買ったことがなかった。しかし、一昨日、ペンギンのフィギュアつきのお菓子を見かけて、ついつい購入してしまった。一昨日と昨日と続けて一箱ずつ購入、今日も買おうと思ったらいつものコンビニには置いてなかった。一日人箱とか、そんなにのんびりしたことを言っていてはいけなかったのか。全9種類あるっていうから楽しみにしていたのに。2つだけだけど、机に並べて写真を撮ってみた。ペンギンじゃなくて、電話にピントが合っていた。画像サイズを小さくしたので、ピンぼけのままアップしておく。
写真を撮ろうとして、デジカメがおかしいことに気づく。ズームのレバーの動きが悪い。毎日持ち歩いている割にはそんなに使っているわけではないのでかなりへこむ。修理に出さなくては。レバー近辺がへこんでいる感じがするので、変形による故障だろうか。一年経ってないので、無償修理が効けばいいんだけどなぁ。
夜、二つの場所でチャットする。一つは人がいなくてあまり喋らない人ととりとめのない話をしていたが、それなりに面白かった。一つは文学関係のところでミステリとか本の話をする。そこでわりと売れてる本の話題をしたところ、誰も読んでいる人がいなかった。前に何人かの人と話したときにも誰も読んでなかったので、誰も読んでないなぁという感想を漏らすと、文学好きの人たちは普通売れてる本は読まない、というようなことをいわれてなんだかよく判らない気持ちになる。読書好きでも本好きでもなく、文学であって、また文学が好きという言葉でなくて、「文学とか言ってる人」という言い回しだったので、文学を書くとか「文学してます」とかいう人という意味なんだろうが、そういう人たちは売れてる本を読まないのか。なんかそれは違うと思う。ここでいう売れてる本も、たぶん大江健三郎とか新刊がでたときに週間ベストセラーリストには顔を出すとかいうものや、名作として何十年と読み継がれてきている本のことじゃなくて、ハリー・ポッターとか『ノルウェイの森』みたいな猫も杓子も読むような本のことなんだと思う。少なくとも、ハリー・ポッターはこの話のきっかけになった話題にした本なので間違いない。
それで引っかかるのは、売れてるかどうかで本を読むのかということ。売れてるかどうかなんて関係ないんじゃないか。自分が好きな作家が読まれないことや、それによって本が書棚から消えていくことはいつも悲しく思う。かといって、売れて本屋で平積みになっていると、例えば『海辺のカフカ』みたいなことになっていると、それはそれで買う気力がなくなったりもするけれど。
もうひとつは、「何でそんなものを読むの?」と言われている気がすること。読んでない本、別に本だけじゃなくて映画でも音楽でも同じだけど、読まずに批判する行為ってすごく嫌いなのだが、具体的に批判的なことを述べたわけではないのだが、「普通は読まない」といわれてしまうと、批判的な匂いを感じる。すくなくともニュートラルではない。興味を持てないとか視野に入らないとかいうのは別に気にしないのだが、SFだから、女性の書いたものだから、子供向けだからとかいうのと同じような偏見があるように感じたのだけど、それは考え過ぎなのか。
単に興味がなかったサッカーW杯について、興味のないのは非国民で仕事よりも日本の応援というような騒ぎ方を毎日してたときには、皮肉の一つも言いたくなったけれど、そんなことなのかもしれない。
明け方までチャットをして寝る。
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DVDで『トゥルー・クライム』、夜はテレビでリメイクドラマ版『黒い十人の女』を観る。
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クリント・イーストウッドの主演監督の映画。DVDで観ていたら、最初モノクロの画面で、途中からカラーに変わる。ジャケットの色がセピア系のモノクロームなので、そういう映画だったかと思ったが、色が出始めたときにゆっくりと変わらずに突然変わったので変だと思ってたら、最初からカラーだった。どうもケーブルの接続がおかしかったようだ。
劇場公開は銀座シネパトスかなんかでちょっとしかやってなくて、それを観に行ってかなり地味で渋い映画だったという記憶がある。渋いのは今回観ていてもやっぱり渋いなぁと思ったけど、やっぱり面白い。なんででかい小屋でやらなかったかと今更ながらに思う。物語に敵と戦うようなアクションとか盛り込まれていないのに、カーチェイスばりのシーンとかうまく盛り込んであるし、死刑執行まで間に合うかというサスペンスもあるし、見所充分なんだけどなぁ。子どもとのエピソードとかもほのぼのしていてかなり面白いと思うのだけど、大作にはない味のあるシーンだと思うけど、そういうのはあんまり一般受けしないのかもね。まあどういう事情か知らないけど。
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市川崑の有名な映画を市川崑自身がテレビドラマでリメイク。チャンネルが同じみたいだが、この間の『東京物語』と同じ企画なのか? こういうリメイクシリーズも面白いかもしれない。しかし、オリジナルを観ていないのだけど、どうもテレビドラマ版は今一。アートっぽく創ってる割には、コミカルな部分があってそこが浮いていたり、なんとなく全般的にちぐはぐな印象。テレビという媒体が不利なのかもしれないけれど。もっと全体的にスタイリッシュでクールに仕上げたら面白かったんじゃないかと思うけど。
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テレビ東京で『ISOLA多重人格少女』を観る。それから、月曜日に録画して置いた『タスクフォース』を観る。あとは、サイト更新のために整理など。まだ、サイト改装はしないけど、うたかたの日々を3日分残すようにしたり、過去ログの順番を日付逆順じゃなくて、日付順にしてみたりとか細々としたところで変更中。
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貴志祐介原作の『十三番目の人格(ペルソナ) − ISOLA −』の映画化。観てなかったし、テレビで観るくらいでもちょうどいいかと思って観てみた。
映画はだいぶ話をはしょっている感じがした。原作では、主人公由香里が人の心を読める超能力者でその能力に悩んでいること、多重人格障害で十三人の人格を持つ千尋という少女についても描くべきものがたくさんあり、最後のクライマックスに向け主人公とともにISOLAと対決していく真部という学者の登場や人格の謎と背景にある阪神大震災と、内容が盛りだくさんなので、2時間程度の時間ではどうしても描ききれないだろう。複数の人格が現れて、一人の少女が全く違う印象になるのに期待していたのだが、ほとんど外見だけというのがかなりがっかりだった。顔に複数の人格の顔が重なり合って見えては消えていくってシーンがあるのだが、眼鏡掛けてたり髪の毛を染めてたりという変装みたいな顔が出てくるだけなんだよなぁ。ちなみに、この十三人格少女役はあの黒澤優が演じていた。
原作では、ISOLAの正体が判る辺りからものすごくスリリングで怖くなってきた記憶があるのだが、貴志祐介の小説の怖さはそれぞれの登場人物たちの苦悩とかが描かれて初めて怖くなるような部分があると思う。映画では筋を追うのが精一杯で、それを恐怖にまでもってこれなかったという感じか。原作の結末では、ホラーの常套手段だが、すべてが終わったかのように思えて、余韻が残る結末になっているが、映画ではそこはまるまるなくなっていた。それともラストクレジットが途中でぶっつり切れたけど、放送でカットしたってことはないよなぁ。これも、B級ホラー映画によくあるような、死んだと思ったモンスターが突然現れて終わるというような単純で直接的な怖さではないので、そのまま映画の最後にもってくるのは難しかったのか。
その他思ったこと。原作を読んでいるので、磯良の謎が解けるあたりには驚きがないので、逆に研究室のシーンで映像が出てくるとまずいんじゃないかと思ったら、その隠すべきものを隠しているあたりが微笑ましかった。
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テレビドラマだが、行定勲を監督にしている。マイクロマシーンという、ナノテクノロジー技術を巡っておこる事件を物語にしているが、企業サスペンスみたいなものかと思ったら、なんだか近未来を舞台にしたとんでもSFみたいになっている。いや、舞台は現代なのだが。
三上博史扮する主人公が、社長からマイクロシステムに関する責任者として任命されるところから事件が急速に動き出す。自分は何者かに襲われ、自分に相談を持ちかけてきた友人は殺され、防衛庁から訪問者があるがそれは偽物だと判る。それらの事件の背後にはマイクロシステムに関する秘密で繋がっているらしいと思えてくる。外出時の車は尾行され、社内の極秘事項が外部に漏れている。家庭にも無言電話、家の前に止まる不審車がある。こう書くと、高度な技術を巡る企業サスペンスかのようなのだが、なんかどこか少し歯車がずれているような、不思議な感じがする。まるで現代日本と瓜二つのパラレルワールドで起こる事件を描いたSFみたいな感じ。すべての黒幕は宇宙人だったといっても驚かないよ、って感じ。
これが行定勲の世界なのかなぁ。結局、最後まで宇宙人も出てこなければ、未来人も出てこなかったけれど、少しずつ変なのである。運転手の岡本信人とか、一見普通そうで、最後はすごかったし。クライマックスは、砂丘で銃を持って戦うことになるし、あわや最後というところで、いきなりGメン75というか。やっぱり説明できないので、観るべきである。観てない方は、再放送やったら、必見ね。
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相変わらず、家でだらだら過ごす。掲示板を変えようかと思って、フリーソフトウェアの掲示板をいくつかみて、カスタマイズなどする。昼間、テレビで『犬神家の一族』をやっていたが、もう何回か観ているので、どうせみるならちゃんと観たいと思って観るのをやめる。何回か、観ているからテレビでいいやという考え方もあるわけで、理屈というのはあとからついてくるものだと思ったりする。夕方から、DVDで『ライトスタッフ』を観る。
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フィリップ・カウフマン監督の名作だが、実は観ていなかった。映画館で観なかったので、いつか観ようと思って結局、20年間観ようと思うだけで観なかったということになる。193分と、3時間以上の長さだが退屈しない。というのも、最初からずっとクライマックスの連続みたいな映画で、ある意味じゃクライマックスがないとも言えるのだが、それだけに退屈しようがない。
最初、音速の壁を破りさらに記録を破り続けるテスト・パイロットたちの物語として始まるが、ここでサム・シェパード扮するチャック・イエガーが主人公として活躍する。しかし、ソ連がロケットの打ち上げに成功し、それに慌てたアメリカがマーキュリー計画として宇宙飛行士たちを募集すると、チャック・イエガーはこの候補から落ち、二番手に甘んじていたテスト・パイロットたちが主人公として浮かび上がってくる。第二章といってもいいかもしれない。第二章での新たな登場人物として、スコット・グレン扮する空軍のパイロットアラン・シェパードやエド・ハリス扮するジョン・グレンらが加わり、宇宙飛行士の選考テストと栄光の7人の選出が描かれる。しかし、彼らが宇宙へ行く日はなかなかこなかった。ロケットは発射途中で墜落、失敗の連続だった。そしてようやくアメリカもロケットの打ち上げに成功するのがいわば第三章で、宇宙一番乗りの栄光は7人の宇宙飛行士ではなく猿だった。そして再び有人飛行でソ連に遅れを取るのだ。焦ったアメリカは無理矢理有人飛行に挑戦する。クライマックスはないといったが、歴史的事実として判っていることではあるのだが、ここでの数々の宇宙飛行のエピソードは命がけでハラハラさせられ一番盛り上がるかもしれない。最後、宇宙飛行士たちの栄光の影で、チャック・イエガーがテスト・パイロットとして黙々と挑戦を続けているエピソードが続く。デニス・クエイド扮するゴードン・クーパーは、常に自分が最高のパイロットと自負していたのだが、記者のインタビューに本当に最高のパイロットと思える人が一人だけいると答えるシーンなんかとてもよい。
サム・シェパードとスコット・グレンの二人は特にかっこよかった。華やかな表舞台と関係なく、ひたすら自分の限界に挑戦するようなストイックでいて、熱い情熱という相反するようなキャラクターで、ちょっとかっこよすぎる。もう最高。
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最近なんとなく頭の中で繰り返し流れているメロディがあるなぁと思って、なんだろうと意識的に再生してみたらなんと『LOVE涙色』(松浦亜弥)だった。なぜだと思ったが、そういや少し前にNHKのチャリティーコンサートで歌っているのを耳にしたっけ。チャリティーコンサートでは、クラシックのオーケストラをバックに歌うので、編曲されてちょっとゆっくりしたメロディになっていたが、編曲は斉藤ネコだった。テレビがついていて何気なく聴いただけなのに、いつのまにか頭に残っているとは。こうしてつんくに洗脳されていくのだろうか。
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死ぬほど眠い一日だった。
昼前にはパソコンに向かったまま意識を失う。それで昼飯後、仮眠を取って、午後は出かける。外に出てる間は意識ははっきりしているが、戻ってくるとやっぱりすぐに頭が朦朧としてくる。電車の中では立ったまま本を読んでいるうちに眠ってしまって、本を落としたり、ちょっと久しぶりに激しい睡魔だ。昨日の夜からちょっと風邪ぎみかなと思っているのでそのせいかもしれない。あとは、やっぱり休日に生活のリズムがずれているのが大きいだろう。
あとABCに行ったのだが、さんまのからくりテレビに出ている加藤さんの本が売っていた。この人、一体どんな仕事をしているのかとすごく謎だったが、デザイン事務所を自分で開いているのだった。立ち読みだけで買わずに帰る。でもやっぱり買っておこうか。悩みどころだ。
行定勲のコーナーができていて、『ポップンロールミシン』映画化にあわせた企画のようだった。行定勲の選んだ本が、本人によるポップ付きで十数冊並んでいた。そういや、浜崎あゆみのPVを確か40分くらいの長く撮って、それを映画館でレイトショウのみ10日館限定とはいえ、劇場公開するなんていう話も今日Webで見かけた。行定勲っていつの間にそんなにメジャーになったんだろう。
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鮎川哲也氏、ご逝去。いつも見ているサイトで知るが、誰が亡くなったかを書いているかによって、そのサイトの位置づけが判ると思った。人の死で判るというのもあんまり嬉しくない話だ。
この間から時々読んでいた『バイオハザード』(牧野修 角川ホラー文庫)を読み終える。『海辺のカフカ』(村上春樹 新潮社)も少し読む。奇しくも、ホラー的な部分。猫好きには十分ホラーでしょう。
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牧野修による映画『バイオハザード』のノヴェラーゼイション。映画とストーリーが少しずつ違うのは、想像だが脚本を元に書き下ろしたのではないかと思う。語りの視点が映画と違う部分は脚本に依ったのか、文章で効果的に書くために変えたのか判らない。何を元にノヴェラにしたのか判ると、どこが牧野修のアレンジなのかが判って面白いのだが。
映画を観ていても気づくことなのかもしれないが、うっかりしていたことに気づかなかったのだが、映画は『鏡の国のアリス』からの引用がある。ノヴェラ版『バイオハザード』では、各章の冒頭に『鏡の国のアリス』からの引用がある。鏡の洋館で目覚めるアリスに、狂った赤の女王、さらにノヴェラでは白の女王も出てくる。そういう味付けが映画とは違う楽しみだ。
ただ、全般的には映画の謎のまま話が進んでいき、アリスの記憶が少しずつ甦って真相が見えてくるというストーリーの方が面白い。ノヴェラでは映画では説明しきれなかった点が説明され、疑問が解決する部分もあるが、ホラーでは合理的な説明がないことは欠点にならない。それと、映画ではアリスを中心とした格闘シーンがあるわけだが、文章で描かれる格闘シーンはちょっと物足りない。
映画の結末が、全てが解決したあとのショッキングな事実の提示という、ホラー映画のパターンにはまった結末だったのに対し、ノヴェラの結末はちょっと違う。映画の結末が唐突に思えたのは、ラストシーンのアリスが目を覚ますまでの間に起こったことが描かれていないからだが、ノヴェラではその失われた時間が描かれている。結末が判っていても怖くなる。こういう怖さが、本当の怖さという気もする。そうして続くエピローグは、映画の結末のただのショッキングシーンと違ってこの続きを期待させられる描かれ方だった。
ところで、改行が多くて、本の下半分が白っぽいのがちょっと気に入らなかった。
[ 『バイオハザード』 ポール・W・S・アンダーソン脚本 牧野修 角川ホラー文庫 ]
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『海辺のカフカ』で、ポニーテールした男が出てくるのを読んでふと思ったが、髪の毛を後で縛ってしっぽみたいにする人っていつの間にか絶滅してる。あんなに繁殖してたのに、あまり見かけないとかいうんじゃなくて、完全に絶滅しちゃったような気がする。
本格ミステリファン度調査に続いて、翻訳SFファン度調査とか国内探偵小説ファン度調査(あなたと夜と音楽と内)とかいろいろ出てきた。翻訳SFファン度調査はさらに少ない既読数だった。これ持ってるけど、まだ読んでないなというのが多い。国内探偵小説ファン度調査はまだやってない。
本格ミステリファン度調査の1位が、『すべてがFになる』から『姑獲鳥の夏』に変わっていた。『すべてがFになる』が1位というのもなんだが、『姑獲鳥の夏』をが1位というのもなんというか。そもそも京極夏彦を本格ミステリといっていいのか。そして中でも、『姑獲鳥の夏』はあの言語道断なトリックだというのに。10位までが、森博嗣の1冊を覗いて、すべて京極夏彦と綾辻行人であるというのはしかしまぁすごいな。
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妙な夢を見て目を覚ます。『海辺のカフカ』のホラー的エピソードが頭の片隅に残っていたからかもしれない。そんな変な夢。
『スキゾポリス』(監督スティーブン・ソダーバーグ)と『SWINGMAN』(監督前田哲)をDVDで観る。
新しい掲示板を公開し、それにあわせて各ページのタイトル画像を一部変える。前のまま使っていて、廻りに白い縁取りができてしまうのがずっと気になっていた。とはいえ、全部直していないという中途半端さ。全体の完成度より、日々の更新の方が大事だと思っているからなのだけど、それでも不統一は格好悪いのでなんとかしなくちゃ。
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『セックスと嘘とビデオテープ』以来観ていなかったソダーバーグ監督の映画だが、『トラフィック』や『オーシャンズ11』で興味を持ち、そんなときにワゴン安売りコーナーから救い出した『スキゾポリス』を観る。ジャケットからして、普通の映画じゃなさそうで面白いのかどうかちょっと疑問を感じてしまう。ジャケット裏の解説を読むと、弱冠26歳の処女作『セックスと嘘とビデオテープ』でカンヌ映画祭パルムドールを受賞し天才の名を欲しいままにするもその後スランプに陥る。その再起をかけて完成させたオフビート・コメディだという。ソダーバーグ自身は、「ルイス・ブニュエルとリチャード・レスターとモンティ・パイソンの影響を反映させた」と語っている。
実際、観てみたらもの凄く妙な映画だった。映画の冒頭は劇場での監督の挨拶から始まり、この映画が難解だとしたらそれは観客のせいだとか、何度でも繰り返し理解できるまで観てくださいという。本編では、ソダーバーグが主人公を演じているが、状況がなんだかよく判らないうちにいろいろと別のシーンに切り替わっていく。途中半分くらいのところで、主人公と瓜二つの歯科医が出てきて主人公はこちらに切り替わる。登場人物たちは重なり合っていて混乱した状況は混乱したまま話は進み、突然主人公たちがスペイン語(だと思った)と日本語を喋ってみたり、どんどん混沌化していくのだが、不思議と判るような気がしてくる。なんか夢を見ているような感じで、ちゃんとしたストーリーを説明できないのだけれど、最後にはよくわからないまままた観たくなるという奇妙な映画。
[ 『スキゾポリス』 監督スティーブン・ソダーバーグ 出演スティーブン・ソダーバーグ/ベッツィ・ブラントリー ]
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木下ほうか扮する主人公が街を歩いている、すれ違う少女宮崎あおいが「たすけて」という声を聴く。そして、主人公は人気のない工事現場の前に立てかけられた金属バットを見つめる。次の瞬間、場面は変わり、頭に包帯を巻かれて病院のベッドに寝る主人公。看護婦は、殴られて病院に担ぎ込まれたというが、主人公にはその記憶がない。目撃者の6人に会い、何が起こったのか訊こうと思うのだったが。
真相を求めていく間に、主人公自身が少しずつ狂っていくかのような不気味さがある。ささいなことに苛立ち、恋人(粟田麗)には変わったと言われ、買い求めた金属バットを振ってみる。少女が聴いた「たすけて」とはなんだったのか、サスペンスタッチに謎が解けていくのかと思うが、最後はちょっと肩すかしというか明確な答えが見えなくて収まりが悪い。
それにしても無駄に豪華というか出演者にあれっと思う人が結構出ている。目撃者の一人が麿赤兒だったり、どっかで見た俳優だと思ったら加勢大周だったり。主人公が売れない俳優って設定で「役所広司に会ったことあるか」と訊かれて一緒に仕事したことあるよなんて答えてると思ったら、撮影所のシーンで本当に声を掛けてくるワンシーンがあったり。キャストには、どこで出たのか気づかなかったが、大河内奈々子やら井筒和幸、小島聖、大森南朋などと見たような名前が並んでいる。
池内広明「ノックする人々」(河出書房新社)が原作らしい。
[ 『SWINGMAN』 監督前田哲 出演木下ほうか/粟田麗/宮崎あおい/北村一輝 ]
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昼頃起きて、日曜だが仕事をする。映画も観られなくてちょっとつまらない。仕事に飽きると、少しWebを見たりする。しかし、そんなことの繰り返しで、結局夜までずっと仕事をしていた。
夜、忘れないうちにと思って、昨日書いてなかった『スキゾポリス』と『SWINGMAN』の感想を昨日の日付のところに書いておく。
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昨日、ボード式のチャットでちょっと話していて、とんでもないことに気がついた。あることの締切が8月31日だったのだが、ついこの間まで「今から頑張ってなんとかなるかな」などと考えていたのである。もう1ヶ月前の日付なのにまだ2ヶ月先くらいのつもりでいた。別に、普段から日にちの感覚がないわけではないのだが、気持ち的にはまだ自分の中では7月くらいだったのかなと思って愕然とする。別に実害はなくて、ちょっとショックだっただけだが。
のんびりと『海辺のカフカ』(村上春樹 新潮社)を読んでいる。同じ頃に読み始めた人はもうとっくに読み終わっているのにのんびりしていることよ。休日にはほとんど読まず、平日のちょっとした時間の合間に読んでいるので進まないのは当たり前なのだが、早く先を読みたいという焦りもない。それは別につまらない訳じゃなくて、すごく面白いのだが、面白いというより、『海辺のカフカ』の世界に浸れる時間を楽しむみたいな感じなのである。本を読んでくつろいでいるような感じ。そんなわけで、まだ下巻の冒頭で、あと最低でも一週間か楽しめそうだ。
bk1が10月1日からリニューアルして、1500円以上で送料無料とか、ブリーダープログラムに参加している人自身が買ってもポイントがつくとか若干仕組みが変わる。嬉しいなと思っていたら、もうU5さんのワツニュで取り上げられていた。そのU5さんの編集後記では、うたかたの「スキゾポリス」のネタが取り上げられていた。感謝。アキ・カウリスマキとその前の日にはウィノナ・ライダーの話が載っていたので、その辺りについて書いてみる。っていうのは、カウリスマキとウィノナ・ライダーってどっちも好きなので。
アキ・カウリスマキについて、DVDのBOXしかないのか?という点については、BOXも出てるけど店ではバラでも売ってるのを見かけてる。同じ作品が全部バラで出ているかはわからないけど。BOXの方はDVD1枚に2作品収録されていたと思うので、ばら売りの方はどうなっているのかな。いずれにしても、総額的にはBOXの方が得なんじゃないかと想像するけど、でももしカウリスマキを未見ならいきなりBOXを買ってしまうのはちょっと冒険過ぎると思う。まあ、好きな作品が2作あったら大丈夫かな。
僕も全作観た訳じゃないけれど、『真夜中の虹』とか『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』とか『愛しのタチアナ』とかが好きだ。BOX買おうと思うくらい好き。ひたすら不幸な人生みたいな話が多いのに、オフ・ビートでテンポのずれたようなおかしさとで、こんな人生でもいいじゃないみたいな気持ちになってくる。不幸だけど最後にハッピーになるとかいうんじゃなくて、不幸で始まってずっと不幸だったりするんだけどね。
amazonの検索は監督の名前で出ないとかいうのは知らなかった。でもいつも常連がいるので、マッティ・ペロンパーかカティ・オウティネンで検索すれば、カウリスマキ作品はすべて網羅できるような気がする。でも、二人のうちどちらも出ていない映画もあるかもしれないのできっと気のせいだ。でも、そう思うくらいどちらかが出ている。
ちなみに、アキ・カウリスマキの兄弟のミカ・カウリスマキの映画ってたぶん観ていない。『Go!Go!L.A.』しかビデオとかで観られるのはないような気がする。この映画観たような気もするんだけど、話を思い出せないのでやっぱり観てないのかな。他にもあるはずなんで、ビデオ化されないかな。
あと、余談だけど、フィンランドの映画監督はアキとミカの二人しかいないというギャグがあったけど、たしかに他のフィンランド映画って観たことない。もっと関係ないけど、カウリスマキ映画がすごく好きなアキコって女の子がいて、「あたしがカウリスマキと結婚したら、アキコ・カウリスマキになっちゃう!」と言っていたのを憶えているが、それが誰だったのか思い出せない。とか書いていたら、誰だか思い出した。思い出そうとする努力って大事かも。
続いて、ウィノナ・ライダーだけど、ウィノナ・ライダーも好きなんだけど、でも出演作全作は観ていない。代表作が何かっていうのは難しいけど最初に有名になったのは『シザーハンズ』じゃないのかな。同じティム・バートン監督の『ビートルジュース』にも出ていて、ファンタスティック映画好きはそのころから知っている人も多い。知名度はおいといて、個人的に好きなのはジム・ジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』でタクシードライバー役で出てくるのが格好いい。それから『クルーシブル』が好き。ここでの役はかなりひどい人間なんだけど、とかいうのは、映画ノートに書いたのでここでは繰り返さない。ウィノナ・ライダーの出ている映画では、たぶん一番最新だと思うんだが『ロスト・ソウルズ』がとても観たい。忙しかったので映画館で観そこねてしまって、とても気になっている。
ということで、思いついたことなど、書いてみた。うーん、全然参考にならないね。
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台風で朝から雨風が強い。そして、なんとなく蒸し暑い感じもする。こんな日に限って、スーツで外に出ることになってうんざりしていたが、外を歩くときはうまい具合にそんなにひどいときではなくて助かった。
しかし、行った先の用件で台風吹きまくりの荒れ放題みたいな状況でうんざりする。飲んで帰りたいが、台風も来ているので寄り道せずに帰る。ただ、ABCには寄り道して、<ゴーメンガースト三部作>の『タイタス・グローン』、『ゴーメンガースト』、『タイタス・アローン』(マーヴィン・ピーク 創元推理文庫)を買って帰る。家に着く頃にはもの凄い風雨に驚く。
昨日、うたかたの日々にアキ・カウリスマキとウィノナ・ライダーの映画の話を書いたが、書いていて映画を観てないなぁと痛感する。監督作、出演作を全作は観ていないとは思っていたが、こんなに観てなかったっけって感じである。1、2本見逃してるだけだと思っていた。ウィノナ・ライダーの関連サイトとか見ていたら、今上映中の『ズーランダー』にちょっと出ているみたいだ。というか、この映画にはたくさんの俳優が顔を出しているみたい。
EVさんの日記がもう一月も更新されていないけど、どうしたのかと思っていたら、久々の更新。海外に行っていて、帰国したようだ。
珍しく早い時間に家にいたら、いつのまにか居眠りしてた。
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