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2002年11月後半
13時過ぎまで寝坊する。食後、DVDで『ロスト・ソウルズ』(監督ヤヌス・カミンスキー)と、4回目の鑑賞になる『ロード・オブ・ザ・リング』(監督ピーター・ジャクソン)を観る。夕食後、雑用をこなして21時からテレビで『ソルジャー』(監督ポール・アンダーソン)を観る。映画ばっかり観ていた一日。
昨日から書きかけてなかなか書き上がらなかったうたかたの日々をようやく書き上げてアップ。blogの話をまとめるのに時間がかかたのだ。2時過ぎているがいきつけのチャットに行ってみると人がいるので覗いてみる。ロリータという言葉がまだない時代、「ベビー・エロ」といっていたとかそんな話をしている。何かと思えば、文春文庫で、菊池寛の『貞操問答』が『真珠夫人』を超える幻の名作とかいって文庫化されているらしい。その延長で、活動弁士がつくような映画の話とかちょっとだけ話す。明日が仕事なのですぐに落ちて寝ることにする。
しかしそれからが大変だった。久々に胆石の発作で1時間くらいのたうちまわり、その後痛みが落ち着くまでしばらくかかって気がついたら4時だった。
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7時半に起きて仕事。オフィスの移転に伴い、サーバの接続作業が目的だ。しかし接続前に、まずサーバ類をラックに載せるところから始まる。サーバはともかく、問題はUPSで、UPSを動かしたことのある人なら誰でも知っていることだがとにかく重い。大きさと比較してかなり重い。しかも4台もあるので、それを動かすだけで一汗かいてしまった。13時までの予定だったが、1時間オーバーの14時に作業終了。特に問題もなかったし、まあ、いい線ではないだろうか。
それから食事をして、映画でも観ようかと上映時間を調べるとどうも時間が半端。時間を潰して映画を観ようかどうか迷ったのだが、帰ることにする。途中、本屋で買い物。『始祖鳥記』(飯嶋和一 小学館文庫)、『マイノリティ・リポート』(P・K・ディック ハヤカワ文庫SF)、『そば屋 翁』(高橋邦弘 文春文庫)、『影丸極道帖』(下)(角田喜久雄 春陽文庫)を買う。『影丸極道帖』の下巻だけ買ったというのは、前に上巻を購入していて、下巻だけ絶版状態だったため。他に昨日のチャットで話題になっていた『貞操問答』も見かけたが結局買わなかった。しかしそれにしても「ベビー・エロ」って表現はすごいよなぁ。
読書は『青の炎』(貴志祐介 角川文庫)読了。映画化について下世話な心配だが、あややの演じる予定の紀子にラブシーンというかベッドシーンがあった。結構重要なシーンではあるので映画化されても残るんではないかと思うのだけど、あややファンとかどう思っているんだろう。気が気じゃないんじゃないか。などと、他人ごとながら心配する。あー、下世話な心配。
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角川ホラー大賞でデビューした貴志祐介の作品だが、ホラーではなくてミステリにジャンル分けされている。しかし考えてみれば、元々貴志祐介の作品にはミステリ的要素が強い。『十三番目の人格−ISOLA−』では多重人格の少女の十三番目の人格磯良を巡って謎解きのような展開をするし、『黒い家』ではやはり黒い家で何が起こっているかその犯人について次第に明らかになるような展開だし、『天使の囀り』では頻発する自殺事件の理由と天使の囀りが何なのかという謎が中心に据えられている。(『クリムゾンの迷宮』は未読。)
そして逆に『青の炎』にしても、探偵が出てきて謎解きをするような典型的な推理小説ではなくて、主人公が完全犯罪を目論んで殺人を犯すが、完璧に思えた殺人のトリックがささいなことから破綻していくといういわゆる倒叙もののミステリになっている。突如主人公の少年の家庭に男がやってきて、それが結果的に少年が犯す殺人の動機になるのだが、そういう理不尽な脅威が訪れるというのはホラー的だ。ホラーを非常に類型化していうならば、その脅威に対して逃げたり、恐怖におののくしか手がなくて、最後に武器を手に立ち上がり、最後に生き延びるという型があるかもしれない。その型に当てはめて考えてみるならば、『青い炎』では早くに武器を持ち立ち上がる。だが勝利したかのように見えて、心理的にもまた別の脅威が現れるという点でも決して勝利を得ていない。結局はうまく逃げようと立ち回っていくホラーと同じ話の構造になっている。
典型的なホラーがモンスターのような理不尽な存在との対決で、そのモンスターを倒すことは正義の側にいることができる。しかし、貴志祐介のホラー作品では『十三番目の人格』が多少超常的な現象を含んでいるとはいえ、どの作品も主人公を襲う恐怖の存在は単純な敵としてのモンスターでもなければ、存在自体が理不尽ななにかだったりすることはない。『青の炎』では、殺人に至る緻密な計画などが細部にわたって描写されることで、ミステリといわれるのかもしれないが、『青い炎』はこれまでの貴志作品のホラーの延長には必ず突き当たるのが当然の物語だと思える。別にジャンル訳にこだわる訳じゃないのだが、ホラーからミステリに鞍替えしたのではなくて当然の結果だなという気がしたので、書いてみた。未読の『クリムゾンの迷宮』を読むともしかしたら、その間がさらに明確に見えるのかもしれない。
それにしても、『青い炎』に辿り着いてしまった貴志祐介は、次に何を書くのだろうか。結構気になる。
[ 『青い炎』 貴志祐介 角川文庫 (bk1/amazon)2002/11/17 ]
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オフィス移転の一日目。日曜日のサーバセットアップのついでに机の整理などはしたので、朝からほぼ通常通りの仕事をする。夜は事務所開きの内輪のパーティで、ビールとかワインとかたくさん飲んだ。オフィスの様子をデジカメで撮ったり、DVを廻してみたり。
読書は『狂区の爪』(竹本健治 光文社文庫)を読み始める。竹本健治の智久&類子シリーズの第一作で、何故か新刊で手に入らないのでシリーズ三作をまとめて納富に借りたのに、借りたまま全然読んでなかった。この間会ってからもう三ヶ月くらい経っている。さっさと読んで返さないから、事務所まで移転してしまった。
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神田近辺を探索する。神田西口からの商店街を初めて通り、いろいろな店があること確認。東口にはブックファーストもある。神田辺りなら本屋には不自由しないのだということに思い当たる。
読書は引き続き『狂区の爪』(竹本健治 光文社文庫)を読む。すらすら読めるが、時間的に余り読む時間がなくて進まない。
本屋で『地球平面委員会』(浦賀和宏 幻冬舎文庫)を購入。あと、正確なタイトルを忘れたが、4行日記を書こう、みたいなタイトルの本を見かけてパラパラ見てみる。まともに中身は読んでいないのだが、4行だけ、しかし毎日書く日記という考え方が面白いと思った。その4行も現状、理由、希望、とかそんな感じの4項目について書くという風に決めている。確かにこれなら毎日続けられそうだ。全然紹介になっていないが、面白いと思ったのはそういう仕掛けの方なので覚える気がないというか。しかし、こういうときに具体的に書いた方がネタになるのにね。
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昨日から東京に来ているちゃめさんに会う。有楽町で落ち合い、食事をして喫茶店で話す。いろいろ話をしたが、最後の方で話していたのは、映画化される小説の持つ物語の堅牢さみたいな話。ちゃめさん曰く、小説や映画、さらに漫画やゲームになるような複数の形態で提供されるものは、物語にある種の堅牢さがあって、別の枠組みで再構成したくなるようなものが何かあるんじゃないかという。そのとき、例えば小説なら同じ小説を再構成するときに小説ではなく、映画とかゲームとか別の手段を取っているのではないかという。小説ではあまり例を見ないが、映画なら映画で再構成する例(リメイク)もある。
EVさんの日記(11/20)で『ニジンスキーの手記 完全版』(ヴァーツラフ・ニジンスキー著 鈴木晶訳 新書館)について書かれているのを読んで、ものすごく読んでみたくなる。EVさんは「メカニックな訳文」と表現しているが、原文の細切れで繰り返しの多い文をそのまま訳しているのだろうか。EVさんは、市川雅訳の『ニジンスキーの手記』とは内容も訳文もほとんど別物だと言っているが、「完全版」とあるくらいだから、そもそもの原書自体が手記を忠実に採録した別版なのだろうか。
書きながら気になったのでbk1で検索して説明を読んでみる。やはりロシア語原典からの初翻訳と書かれている。現代思潮社の市川雅訳版を確認してみると、役者あとがきに「ロンドンのヴィクター・ゴランツ社から出版されたもの」に拠って訳出し、仏訳とロンドンの別の社からでた新版を随時参照したとあるので、英訳からの重訳だったようだ。
EVさんの紹介を読んでいる分には読みたくなるが、実際に読んでみると案外退屈かもしれない。市川雅訳版を読んだときにも繰り返しが多く思考があちこちに飛躍する文章にはやや辟易した覚えがあるが、EVさんの引用部分を探して市川雅訳版を拾い読みすると、まだ随分読みやすい気がするから。でも、非常に気になってしまって、bk1で調べているうちに注文してしまった。ううむ、罠だ。
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昨夜、入浴後雑用で時間をとられて、気がついたら4時半だった。というわけで、今朝目が覚めないこと、起きるのが辛いこと。いつもより30分以上寝坊して、7時半くらいに起きる。
『狂区の爪』(竹本健治 光文社文庫)を読み終える。智久&類子シリーズだが、智久は冒頭で病に倒れずっと眠ったまま、安楽椅子探偵すらやらないで、ひたすら寝てるだけ。こうなると、最後に智久が目を覚まして快刀乱麻の名推理を披露して終わるのだろうと思って読んでいたら、まさにその通り。面白いと言えば面白いが、最後に真相が明らかになると無茶苦茶ご都合主義な感じもする。
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新オフィスに移って一週間経つのだが、まだ一週間しかいないとはとても思えない。ずっとここにいるようだ。先週引越作業にかり出されたことも遠い昔のことのように感じる。たぶん一日のうち、それだけ長い時間いるということなんだろうなぁ。一日の出来事はたいして変わらないし、毎日が同じ繰り返しような感じがする。
神田西口すずらん堂で『陰陽師 鳳凰ノ巻』(夢枕獏 文春文庫)を買う。町の小さな本屋という感じだが、近いのでよく利用することになりそうだ。神保町の交差点まで歩いても15分くらいで着くのに、貧しい読書生活だなぁ。せめて神田駅前のブックファーストに行きたい。
読書は、『狂区の爪』に続いて、智久&類子シリーズ2作目の『妖霧の舌』(竹本健治 光文社文庫)を読み始める。
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昼頃起きて、DVDで『ウォー・ゲーム』(監督ジョン・バダム)を観る。細かいところではいろいろ突っ込みどころはあるのだが、映画でコンピュータとかでてくると非現実的なことおびただしくて嫌になるが、『ウォー・ゲーム』って当時のハッカー・ヒーロー的ディテイルを描いていて好きな映画。すごく久しぶりに観たけど、やっぱり面白かった。
今週一週間はすごく長かった気がしたが、やはり疲れていたみたいでちょっと気を許したら夜になって昼寝してしまう。夜、読みかけの『妖霧の舌』(竹本健治 光文社文庫)を読了。
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智久&類子シリーズ第2作。異常気象で霧の多い日々が続く中、霧の中を不審な人物が暗躍し少女誘拐未遂事件が多発する。そして、その誘拐未遂事件を予告するのか警告するのか、霧の中の悪魔からの警告という怪文書がパソコン通信を中心に出回っていた。そしてついに誘拐事件で少女が殺される事件が起こったが、その少女は殺される前にパソコン売り場で怪文書を受け取っており、類子はその現場を偶然見かけていたのだった。
類子と殺人事件との微妙な接点に加え、智久の対戦相手だった桃井の突然の失踪が重なり、類子と智久は自然に事件に巻き込まれていく。殺人事件に加えて、智久のスランプのエピソードも間に入ったり、パソコン通信や同人誌の世界についても描かれている。囲碁の世界の話は面白いのだが、パソコン通信や同人誌の話はもう一つ物足りない。
やや幻想的な雰囲気が好きだが、『風刃迷宮』のようにもっと混沌としてる方がいい。意外な犯人は成功していると思うのだが、『狂区の爪』の伝説と奇怪な殺人事件と較べてもわりと普通すぎるのかな。今ひとつだった。
[『妖霧の舌』 竹本健治 2002/11/23]
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勉強はできないけれど、コンピュータが好きな高校生デビッドが、新しいゲームソフトを発売するゲーム会社の回線からゲームにアクセスしようと思って繋がったのは、国防省(?)の核戦略コンピュータだった。パスワードが判らずアクセスできなかったが、ゲームをリストするように入力するとゲームのリストが現れる。そのゲームリストの最後には「全面核戦争ゲーム」があった。ゲーム会社のコンピュータだと思いこんでいるデビッドは、それこそ新発売のゲームだと思い、苦労してパスワードを突き止めるのだった。そして、コンピュータを相手に全面核戦争のゲームを始めてしまう。だが、それはシミュレーションではなく、第三次世界大戦引き起こす核戦略システムの開始だった。果たして、デビッドはコンピュータのゲームを止めることができるのか。
と、あらすじを書くととんでも映画みたいなのだが、デビッドのハッカーぶりのディテイルがよく描けていて巷のそんなのあるわけないよっていうコンピュータの出てくる映画とはひと味違う。毎週変わるパスワードを忘れないようにメモしているのを盗みみて学校のコンピュータに侵入するとか、電話番号を端からダイヤルさせて接続先がコンピュータである番号を探し出すとか、あるいは自分にわからなことを訊きに行くのがいかにもコンピュータには詳しいがオタク的な人物だったり、そのあともお金がなくて電話が掛けられなかったときの対処や、閉じこめられた電子ロックの部屋から抜け出す作戦とか、たくさんのエピソードでコンピュータ少年の面目躍如なのである。
冒頭核戦争の危機の緊迫したシーンで始まり、そのあとコンピュータ少年デビッドの愉快な学生生活から単なるいたずらのつもりが核戦争の危機へと繋がるサスペンスへと盛り上がっていく。しかしその危機に誰も気づかず、デビッドが奔走するというジュブナイルSFみたいなノリがまたいい。
[『ウォー・ゲーム』 監督ジョン・バダム DVD 2002/11/23]
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昨日の疲れなんて問題外で、今日はさらに疲れてダメダメな一日。一日だらだらと過ごし、わずかに読書したのみ。智久&類子シリーズ第3作『緑衣の牙』(竹本健治 光文社文庫)を読む。さすがにそれしかしていないので、読み終える。
せきぐちさんのwhatwedidonourholidaysを読んでいたら、Quinka, with a Yawnのミニアルバムが紹介されていた。Quinka with a Yawnって、実は、以前にHALCOとかあがた森魚の出ていたライヴで一度その演奏を聴いて気になっていたミュージシャンなのである。それでもって、せきぐちさんの紹介CDってほとんどは知らないのだが、時々知っているCDが出てくると趣味が合いそうなので、これは買いだと思って、すぐにamazonに行く。最近、忙しくてすぐに大きなCDショップに行けそうにないからamazonが早いだろうとあんまり考えずに購入したら、取り寄せで3〜4週間かかるようだった。配達予定日は12月25日になっていて、自分へのクリスマスプレゼントになってしまった。それすらも間に合わなきゃ、お年玉だが。
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智久&類子シリーズ第三作。北海道にある星辰女子学園とその女子学生寮三姉妹館を舞台に起こる奇怪な事件は、少女の事故死から始まった。しかし、表向きは事故として扱われていたが、誰もが自殺だと信じ、さらには自殺ではなく殺人事件だと信じて密かに調査を始める少女もいた。そして、少女の死後、少女が大事にしていた悪魔の人形にも似た緑の服を着た人影、そして続く「罪ハ血デ贖エ」の血文字の謎。その事件の渦中に、夏休みを利用して<星辰の女剣士>こと速水飛鳥の元を訪ねて類子と智久が星辰女子学園へと訪れる。そして再び事件に巻き込まれていく。
物語を星辰女子学園の少女たちの視点で、しかも章毎に次から次へと別の少女の視点で描いているので、今ひとつ登場人物たちの区別が付かないまま話が進んでいく。また、女子寮のある女学園での耽美とまではいかないが、ある種の少女たちの異空間の雰囲気を出そうといているのか、語り口はいつもより重く静かに語られる。その語り口は僕にはどうも成功しているとは思えなくて、どちらかというと読みにくく感じた。
智久&類子シリーズって、第一作がそうだからかもしれないが、智久が最後の最後に情報を知らされると一瞬にして真相を悟るという名探偵ぶりを発揮する構成になっているように思うのだが、その分その結末までは智久の囲碁に関する話で引っ張るというか、そういう話を楽しみに読むようなところがある。夏休みということもあって、囲碁話があまりないまま最後まで来てしまうと、どうも物足りない。智久も類子も出てくる必要のない女学館の殺人ものでよかったんじゃないか。いや、智久と類子のコンビは好きなので、番外編という感じで読めばいいんだろうけど。とか文句を言いつつ、囲碁話が少ない分、二人はこのあとどうなるの、っていう森博嗣の萌絵&犀川シリーズみたいな点で気になったり、シリーズものの面白みはあるんだけれどね。ちょっと期待しすぎたのかもしれない。
[『緑衣の牙』 竹本健治 光文社文庫 2002/11/24]
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相も変わらぬ一週間の始まり。
竹本健治の智久&類子シリーズで読書ペースがつかめた感じがするので、このままペースを維持するために軽めの作品を読もうと思い『地球平面委員会』(浦賀和宏 幻冬舎文庫)を読み始める。半分くらいまで読んだが、事件らしい事件は起こらないのだが面白く読める。浦賀和宏の初期の作品は妙に重たくて(でもその雰囲気も含めて好きだったのだが)、最近の作品特に安藤シリーズ以外はかなりリーダブルだ。そして読みやすいだけじゃなくて、何の事件らしい事件もないまま薄めの文庫本とはいえ半分まで面白く読ませるというのは浦賀和宏はずいぶんうまくなったなぁという感想を持つ。しかし、果たして、これってミステリじゃないのかも。これをミステリとして大逆転させたらそれはそれですごいし、そうじゃなく青春小説みたいに終わるなら、それはそれでいいのかなと思う。
夜、amazonをアクセスしていて、衝動買いしそうな勢いに。ちょっと待てと踏みとどまる。ネットショップは危険だ。
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昨日の続きで『地球平面委員会』(浦賀和宏 幻冬舎文庫)を読む。やっぱりリーダブルですらすらと読み進み、出かける途中の電車の中で読み終えてしまう。読み終えたら次に読もうと持って出かけたのは『汚辱のゲーム』(ディーン・クーンツ 講談社文庫)。こちらは逆に一見読みやすそうで読みにくい。なんとなく、訳の文章の並びに違和感がある。日本の小説を続けて読んだ後に読む翻訳ものだからなのか、翻訳自体がこなれていないのかまでははっきり結論を出していない。違和感を感じたというのは、例えば文が頭に入らないので、読み返して「この文章は原文では一文だったんじゃないかとか」とか思ったりという、そんな感じ。なのでちょっと訳に問題がないか気になる。昼に神田西口すずらん堂で、『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』(西尾維新 講談社ノベルス)を購入。メフィスト賞作家にも飽きたかなとかいいつつ、やっぱり気になるメフィスト賞作家。
夜、銀座にあるシェリー酒専門店、しぇりークラブに行く。この店に前から来ている人に連れて行って貰ったのだが、美味しい酒を味わって飲む種類の店。詳しい人によれば本当はカウンターがいいそうなのだが、カウンターは一杯でテーブル席に案内される。カウンターだと、シェリー酒の説明をして貰えるので、自分の好みに合いそうなものを選んでくれたりするらしい。テーブルに着くと、シェリー酒のメニューが一人一人に配られるのだが、左上に名前を書く欄がある。前から来ている人は名前を言うと前に来たときのメニューを持ってきてくれる。今までのメニューが全てホッチキスで綴じられていて、新しいメニューをその上に載せて綴じてくれる。そのメニューに飲んだ銘柄に印を付けたり、味の感想などなんでも書き込みしておくのだという。面白いシステムだ。
メニューにはシェリー酒には酒の名前と、その隣にドライ、ミディアム、スウィートと三つの欄に分かれていてさらに記号で味の違いが記されている。あと、その隣にシェリー酒の種類を表すアルファベットもあるが、シェリー酒の製造方法などによる違いなので、シェリー酒がどう作られるか理解していないとなかなか意味がピンとこない。そんなわけで、ミディアムからドライの中からそれぞれ思い思いの銘柄を選んで、相手の頼んだものの味見をさせて貰ったりしながらいろいろと飲んだ。
最初に何も知らない僕らに店の人が「ミディアムが梅酒くらいです」と説明してくれたのだが、確かにミディアムの中でもAGEDと書かれているような色も琥珀色の濃いものは甘みも強い。詳しい人が、「スウィートはミキ・プルーンだから」といっていたのでスウィートは飲まなかったのだが、一人が最後にデザートにアイスにスウィートのシェリー酒をかけたものを食べたので味見をさせてもらったら、プリンのキャラメルシロップのように甘かった。なるほどミキ・プルーンという意味が分かった。そんな感じでシェリー酒を堪能して帰る。
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浦賀和宏のちょっと変わったミステリ。大学に入学した主人公が「地球平面委員会」という変わったサークルからしつこく勧誘され、一体それは何故なのかという謎だけで、半分も読んでも事件らしい事件は起こらないまま話が進む。いかがわしいとは思いつつも「地球平面委員会」の勧誘を無下に断れないのは、その委員長がとびっきりの美少女で、それとは別に決して目立たないけれど趣味が合いときどき話す同じクラスの女の子との三角関係のような青春物語で最後まで終わるのだろうかと思うほどだった。このまま最後まで青春小説として話が終わっても最後に満足できるかどうかは別としても、何も事件が起こらなくても充分面白い小説だと思った。しかし、浦賀和宏のこと、そのまま終わるわけはなかった。とんでもないミステリにしてしまう。オチがすごいわけでもないし、リアリティとか動機とかそんなものも無視できて、くだらないと一蹴しない懐の広さ?が必要だが、それさえあれば面白い作品だと思う。ここまで非現実なテーマを持ってくるなら、ショートショートか夢オチになるのが落ちなのに、それを無理矢理力業でミステリとしての結末をつけたことに感心するのである。
[ 『地球平面委員会』 浦賀和宏 幻冬舎文庫 bk1/amazon)2002/11/26]
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昨日はシェリー酒を飲んで帰って寝るのが遅かったわりに、朝早く目を覚ます。シェリー酒は翌日に残らないといわれたとおり、すっきりとしている。しかし睡眠不足は否めない。
昨日に引き続き『汚辱のゲーム』(ディーン・クーンツ 講談社文庫)を読む。昨日、翻訳になんとなく違和感感じると書いたが、今日も読んでいてまた感じる。トム・ウォングという人物がでてくるが、そのくだりは、「若いアジア系アメリカ人で、名前をトム・ウォングといい、くつろいでてきぱきしたようすと少年っぽい笑顔を見て、ダスティは、この人なら弟をまかせても大丈夫だと確信した。」とある。まず引っかかったのは「トム・ウォング」という名前。原文を見てないし、名前の発音は見たって判らないかもしれないが、「アジア名アメリカ人」の名前なら「トム・ウォン」じゃないのかという疑問。買い物にホングコングに行くくらい違和感を感じる。全体の文章自体も、主語と主格が省略されすぎてないか。文章を分けるか、一文にするならもう少し主語をはっきり書くべきじゃないかと思う。竹本健治の小説を読んでいたときにも、主語が誰か一瞬判らなくなるようなことがあったのだが、この文章は文章自体が捻れている感じがして仕方ない。
今日も遅くまで仕事をして、夜は5人ほどで食事に行く。食事といいつつ、ビールを飲んだりして、仕事を続けられなくなって帰宅する。といっても、22時は過ぎてたが。
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雑誌の取材がある。ライターの人が質問を投げかけて、それに答えるような感じで話す。ライターの人はICレコーダーで録音しながら、パソコンで聞き取った内容を書き留めていく。テレビで取材シーンが映ると、記者たちの差し出すのがいつのまにかマイクではなくICレコーダーに変わっていることにしばらく前に気がついてなるほどなぁと小さな驚きがあったのだが、ここでもやはりICレコーダーだった。ICレコーダーというのは、録音時間が短いという印象を持っていたのだが、取材は2時間くらいあったので、ちょっとサイトで検索してみた。そうしたら、ICレコーダーって想像以上に長時間録音できるのだと知って驚く。例えば、ソニーのICレコーダーの例では、一番短い機種でSPモードで2時間7分、LPモードなら5時間39分。一番長時間録音できる機種ではSPモードで17時間47分、LPモードでは47時間26分。ほとんど丸二日録音できることになる。持っていたからと行って、そんなに使う機会などないと思うが欲しくなる。
取材の話に戻ると、喋っている間にカメラマンが写真を撮る。喋っているときじゃないときに撮ってくれた方が気が楽なのだが、喋ってる自然な様子を撮りたいらしくて、喋るまでカメラを構えもしない。取材に参加しなかった人をあとから追加撮影するときにも、とにかく何か喋って貰ってその間に撮影するということで、何か喋ってくださいと言われて話をさせられていた。ということで、何十年かぶりに雑誌に写真が載る。
夜、学生時代の友人たちと会う。『浅草キッドの「浅草キッド」』の上映会で篠崎と会って勝手に日にちを決めた飲み会だ。連絡したところ当初7人は参加予定だったが、結局3人しか集まらなかった。みんな忙しそうだ。いろいろ楽しく話して、23時くらいに解散する。
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昨日はビールのあと冷酒を飲んで家に着いたら結構眠くて日記を書けなかった。そして朝も辛い。『汚辱のゲーム』(ディーン・クーンツ 講談社文庫)は結局まだ3分の1しか進んでいない。
昼間、喫茶店−−というかレストランで夜は結構飲みに来ている人も多い−−で5時間近い時間、打ち合わせをするという極悪非道なことをする。昼間はガラガラの店がだんだん一杯になっていき、打ち合わせを終わろうとしたら店内は満員で、隣ではビールで乾杯していたりする。隣の3人組が4人がけに座っているので、僕らは資料を広げて6人分の席を独占している。でも、そのあと6人連れて、食事に行ったからいいか。
「うたかたの日々」の更新をさぼっているので、Rojix掲示板にとりあえずアップした赤い彗星「釈・アズナブル」は、PS2のゲーム「SDガンダム Gジェネレーション-NEO」の発売イベントで、ガンダムのコスプレ・ファッションショーの記事。釈由美子がシャア・アズナブルのコスプレをしている。このゲームもバンダイだし、あの妙なお酌ロボット釈お酌もバンダイだ。バンダイの重役に熱烈な釈ファンがいるのかも。
あと、Mistery Laboratory他何ヶ所かで知った乙一のサイトらしき「某作家の日記が読めるページ」。乙一ってだいぶ前から気になっているのだが、まだ一冊も読んでいない。
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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』三部作一挙鑑賞。久しぶりに一作目を観てみたら面白かったので、続けてPART IIを観て、そこまで観たらPART IIIもという流れで、全部観るつもりじゃなかったのに結局全部観てしまったという感じ。一作目はいろいろ不満もあるけどやっぱりそれなりに好きで、二作目は話が複雑というか凝っている割にはあんまり面白くないという気がする。だから三作目の西部時代から現代に戻るというだけのシンプルな話だが、実はこれが一番好きだ。ラストシーンの汽車型タイムマシンとかいうのも、ばかばかしいけど泣かせるし。
某メーリングリストで、「モー娘。今度はプロデューサー交代 」とかいうニュース(小西康陽が松浦亜弥の編曲とかいろいろ)を知るが、ネタですというレスがついて面白がっていたら、昨日INOミスでネタと書いてあるのにすっかり信じていた「globeに南こうせつが電撃加入」もネタだと知らされて大笑い。モー娘。にしてもglobeにしてもあんまり興味ないので、へえそうなんだくらいに思っていたからすんなり受け入れてしまった。しかし最近やや松浦亜弥に過敏に反応しているかもしれない。
夜中、昨日に引き続きニフでチャットする。ニフティに入会している価値があんまりないという話を昨日していたのだが、今日はニフのチャット自体がチャット的なチャットをできなくなってしまったという話になる。今日も実際3人しかメンバーがいなかったのだが、最近人数が少ないせいか話が一つの話題だけになってしまうのはチャットらしくないとかそんな感じの話。人数が多くて、複数の話題が錯綜しながら、ときには話題がそれていき、とんでもない方向に話が広がるのがチャットの面白みじゃないか。ほとんど二人で会話していたので、これなら電話で話しても同じだなと。電話代より安いことだけが利点だが、フリーのチャットで話せばもっと安いのでそれも実は利点ではないのであった。
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ついに今年もあと一月を残すのみとなった。恐ろしく速い一年だった気がする。
『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART III』をもう一度観る。夕方雑用をして、夕食後急に眠くなり2時間くらい仮眠。夜は、テレビで放映していた『BROTHER』(監督北野武)を観る。やっぱりいいなぁ。
bk1より、取り寄せ中の『ニジンスキーの手記 完全版』(ヴァーツラフ・ニジンスキー著 鈴木晶訳 新書館)は取り寄せに時間がかかっているとの連絡メール。
夜、うたかたの日々を書く。読書は2ページくらい。
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